介護と保育の「需要と供給」

1.

需要と供給の関係を言うなら介護と保育の仕事はどう説明するのだか。

むしろ、まさに需要と供給の関係そのものでしょう。「これ以上は金を出せない」「それじゃあ、人手不足は解消できませんね」と。

実際に出す金額を「実際の需要」、期待するサービス水準を「願望の需要」とすれば、市場は「実際の需要」に対して需給が均衡しており、「願望の需要」は永遠に満たされそうにありません。

2. 

需要供給曲線は勘違いされやすいのですが、薄給でも、働く人はいるわけです。でも、需要と釣り合うだけの供給は行われない。需給の一致する給与であれば、「その給与で働いてもいい」と考える人数と、その職業の需要が一致するわけです。

では、需給が一致しないのになぜ、介護・保育業界が成り立っているか。それは、求めるサービスの質を妥協することで、需給を一致させているからです。願望の需要は満たされていませんが、実際に払える金額に対しては、市場で需給が一致した水準で介護・保育サービスが実現しているわけですね。

なお、実際に需給が一致した状態では、一見、応募者が殺到しているように見えるはずです。それはなぜかというと、その職業で求められる水準に達していない人材も応募してくるからです。

これは現在の就活戦線で見られる状況と全く同じで、パッと見には給与が高すぎて人材供給が過剰なようですが、採用試験をしてみると、「じつはほしいだけの人数しか応募してきていなかった」ことが明らかになります。

3.

介護について、需要側の出せるお金が少なくて、人が集まっていないにもかかわらず、それでも介護業界が成り立っている理由も、同じ構図で説明が付きます。つまり、本当はもっと優秀な人材がほしいのだけれど、それは無理なので、現在の給与で雇える人材で、頭数を揃えているわけです。

保育も同じことですね。保育士の有資格者は最低限の人数しか雇えず、無資格でいい補助要員を雇ってどうにか現場を回しているわけです。

はてなハイクより転載)