法がなければ権利もないとは限らない

音楽を言葉を尽くして詳細に紹介しても、音楽を聴く体験を盗んだとは認められないと思うが、小説のあらすじをあまりにも詳しく書くと、小説の売行きに悪影響があるという判断も成り立ちうる。(現実には被害の証明が難しそうに思えるけど)

法律に規定のある権利の方が、訴えるには都合がいいから、それが優先的に選択されるのだけれど、法がなければ権利もないとは限らない。著作権を侵害しなければ、本の内容をほぼ全て無料公開してしまってもいいのかというと、たぶんそうではなかろう。

「言葉で作品の内容を詳しく紹介する」という形式は同じでも、損害賠償とか、公開の差止が認められるかどうかの判断は、その現実の被害の程度に差があれば、違ってきてもおかしくない。

映像のサッカー中継を文字で再中継するのが認められているなら、棋戦の中継映像を見て文字で再中継するのも当然OK……とは限らない。サッカーと将棋の違いを重視して、形式においては同じ再中継であっても、片方はOKで片方はNGという結論になる可能性はある。

はてなハイクより転載)