難民の国内受入は不支持

基本、国内への難民の受入には反対です。

未だ世界には「飢餓を解消できていない地域」が残っており、それを全部解消することに注力すべきで、それ以外の話は後回しでよいと思います。

現在であれば、イエメン、コンゴブルキナファソ、マリ、ニジェール、シリア、ナイジェリア、南スーダンの約4000万人への支援に全力を尽くすべき。

日本国内への難民受入なんて、最大限に努力したって1000万人未満で限界なわけですが、4000万人が暮らす地域に食料を届けることは現実に可能です。各地域で飢餓の原因になっている問題を解消することまではできませんが、難民受入だって対症療法でしかないのは同じことではないでしょうか。

日本政府は、有権者の意思に従い、どちらもやる気がない。各業界からの要望に応え、安い労働力として(短期・中期の)移民受入を推進するだけ。

仕方ないから、個人で国連WFPに毎月定額寄付していますが、残念ですね。

ともかく、例えば台湾と中国が戦争になって、台湾難民が日本にやってきたとして、基本は国境封鎖でよいと思います。

台湾の人口は約2400万人。全員が日本に来たとして、全て受け入れても救えるのは2400万人です。2400万人を受け入れ、諸問題に対応する余裕があるなら、毎年ずっと4000万人を飢餓から解放し続けることなど容易なはず。

無論「どうせアフリカ・中東の4000万人を助けない」なら、せめて東アジアの難民受入は、したらいいと思います。現実問題としては、そう。

ですがそれは次善の策であって、まず容易に助けられる4000万人を救って、それから難民受入を考えるべき。最終的には全員助けるべきだとしても、最も助けるのが困難な人は後回しにして、同じコストでより大勢を救える方面に、まず取り組むべきだと私は考えます。

ウイグル問題にも私は冷淡ですが、100万人が現在も収容所にいる……というその人数は、単体で見れば大きいですが、でも100万人ですよね。収容所外のウイグル人も迫害されているわけですが、その大多数は「生死の境にいる」とまではいえない。

ウイグル問題の解決にどれだけのコストをかける意思が日本の有権者にあるのかわかりませんけれども、「まず食料さえ届けば命をつなぐことができる4000万人をどうにかしません?」と私は思う。

繰り返しますが、飢餓の原因を解決するのは無理。でも、毎年、救い続けることはできます。それで十分でしょう。

近年、難民で最も話題になったのはシリアですが、シリアの人口は2010年の約2130万人がピークで、現在1700万人程度。元々人口が増加基調だったので、単純な引き算より多い約600万人が難民となったそうです。600万は莫大な数字ですが、それでも国内に残った人の方がずっと多い。国境を越えた難民の受入に多くのコストを割くより、国境の内側の難民に支援する方が、ずっと費用対効果が高かったはずです。

また、その600万人の難民の約半分はトルコが受け入れており、せめてトルコの国境は越えさせるべきでなかった。トルコの難民キャンプから一歩でも出たら一切支援しない、我が国に無理やりやってきた人は直ちに難民キャンプに強制送還する、とでも宣言する方がよかった。ドイツが僅かな難民を受け入れるために支払ったコストを、全てトルコの難民キャンプの改善に投入していたら、どれだけ大勢が助かったか。

実際は、難民を国内に受け入れないことで「浮いたカネ」が、飢餓の撲滅などに全額どころか半額も回ることはないと思われ、だったら難民を受け入れた欧州は偉かった、よく頑張った、という話なのでしょうが。

余談

移民の受入で誰も損しない、という話があります。「経済学が実証した事実」ということになっているのですが、いろいろ解説書を読んでも、私は腹落ちしません。

複数の研究において、実際にデータを得られたケースについて、最も貧しい層の経済厚生は僅かに改善または横ばいで、有意な悪影響は観察されなかった、という。他の層についても、マイナスの有意な影響はなく、全体としてはプラスの有意な影響がある。

……ということなのですが、経済発展と賃金改善の理屈からすると、「本来ありえた最も貧しい層の経済厚生の改善」が鈍化した、という可能性を否定できないのではないか、という疑念を拭えません。

人手不足で賃金が上昇すべき分野に、延々低賃金の労働者が供給され続けることに、経済的に良い影響があると考えるのは、どうしても納得いかない。

データと分析自体が間違っているといいたいのではなくて、単に得られたデータが「政治的に可能な範囲内の移民受け入れの結果」に限られているから、上記のような話になるのだと思う。

難民をみな移民として受入することで日本が何ら経済的に損しないなら、世界中の全ての難民を受け入れたら、ゼロコストで地球上の難民ゼロを実現できることになります。そんなバカな、と感じます、少なくとも今の私は。

まあ、経済学は嘘みたいな本当の話をいくつも実現してきたわけですから、「実は難民問題とは、難民を隔離する難民キャンプが経済的に不合理だっただけのニセ問題で、垣根を作らず社会全体で受け入れてしまえばよかっただけなんだ」が正解で、100年後にはそれが常識になっている……なんて可能性もあり得るとは思います。