関心格差も差別の一形態

男女を入れ替えた他は似た内容の記事A、記事Bに対して、対照的なはてなブックマークコメント(ブコメ)が、はてなスター獲得数上位コメント(人気コメント)として並んでいる(記事Cの指摘)。

  • 家事に消極的な女性は擁護され、同様の男性は批判される
  • 家事に消極的な妻に悩む男性には自己解決(相手に期待するな)が勧められ、家事に消極的な夫に悩む女性には夫に家事をさせる方策がたくさん寄せられる

はてなブックマークというコミュニティの世論を人気コメントから読み取ると、そこには確かに男女の不平等・不公平が見て取れる。

他方、記事Dの通り、両方の記事にコメントしているユーザーのブコメを比較すると、その主張は一貫している。

記事Eによれば、各記事の人気コメントにスターを付けているユーザーも約85%が異なっており、「同じ人が男女で異なる判断をしてスターを付けている」のではなく、「異なるユーザーがスターを付けた結果、人気コメントの傾向が異なっている」と推察される。おそらくスターを付けている個々人の主張は、一貫しているのだろう。

したがって、はてブユーザーはダブスタの性差別者ではない。

……と、いってしまっていいのかどうか。

「いい」という線引きも、アリだと思う。思うが、長期的にはこうした「関心格差」も「差別の一形態」とされていくのではないか。解消すべきことなのではないか。

なぜなら、関心格差を放置する限り、差別解消には限界があるからだ。

男性が「妻が家事に消極的で困る」と訴えたとき、「奥さんはフリーライダー、どうにか策を練って家事をさせよう」という意見の人の大半は、そもそも訴えに気付かず、記事を読んでくれず、コメントをせず、スターも付けない。逆に「自分で何とかするしかない」という考えの人はたくさん集まってくる。

女性が「夫が家事に消極的で困る」と訴えれば、反応は逆になる。

こうした状況に対して、「いや、差別っていわれてもね……。意見を聞いてくれれば、私は同じ答えを返しますよ。なんで、自分に差別はないですよ」と個々人が心外に思っても、はてなブックマークというコミュニティ、小社会において差別が存在する事実は覆らない。

関心格差を「仕方ない」と諦めて、私たちが「片方の記事しか読まない、ブコメしない、スターを付けない」ならば、全てのはてブユーザーが「性差別をしない者」であっても、差別は自然と発生してしまう。

せめて、こうして話題になったケースくらいは、後からでも両方読んで、ブコメして、自分が支持できる意見にスターを付けていく、事後的に人気コメントの偏りを補正していく努力をしたい。

現時点では、これは「無理なお願い」「行き過ぎた要求」かもしれない。現在の私も、そんなことはやれていない。

ただ、差別解消の歩みって、長期的には「過去には行き過ぎた要求とされたことが、少しずつ当たり前になっていく」ことだったと思う。私が生きている内に実現可能か、あるいは、これは本当に人類に可能な範囲を超えた話なのかもしれないが、「関心格差の解消」は、いずれ取り組むべき課題ではないだろうか。